鼻プロテーゼの老後の影響と後悔について
記事監修医師プロフィール
アリエル美容クリニック郡山院 院長
安齋誠基
- 岐阜大学医学部医学科 卒業
- 上都賀総合病院
- 大手美容クリニック 院長
鼻プロテーゼは、鼻筋を高くするのに効果的な施術です。しかし、老後にトラブルが生じたり、不自然になったりしたらどうしようと不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、鼻プロテーゼの術後経過について解説していきます。鼻プロテーゼで老後にトラブルを起こさないためのポイントも紹介しているので、興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
鼻プロテーゼとは
鼻プロテーゼとは、医療用のシリコンで形成されたプロテーゼを鼻の穴から挿入し、鼻の高さを出す施術です。鼻プロテーゼ以外にも隆鼻術と呼ばれることもあります。
- 鼻プロテーゼの種類と形状
- L型とI型の違いと効果
まずは、鼻プロテーゼについて上記の2つに分けて詳しく解説していきます。
鼻プロテーゼの種類と形状
鼻プロテーゼは、医療用のシリコンで形成されています。医療用の素材で形成されているため、拒否反応はほとんどありません。また鼻プロテーゼの形状は、主にL型とI型があります。2種類あるものの、現在ではI型のプロテーゼが主流になっています。
L型とI型の違いと効果
L型とI型の2種類のプロテーゼがありますが、前述のとおり現在はI型が主流になっています。理由としては、L型は拘縮によってアップノーズになったり、プロテーゼが鼻先から皮膚を突き破って露出したりするリスクがあるためです。
そのため、現在は大半のクリニックが安全性の高いI型を扱っています。I型は眉間から鼻筋に挿入します。L型のように鼻先から突き破って露出するといったトラブルは起きていません。長期的に見てもL型は安全性が高いとされています。
鼻プロテーゼの老後に起こり得る影響
鼻プロテーゼは、医療用シリコンで形成されており、腐ったり溶けたりするリスクはありません。しかし、異物であるため、拒否反応を起こすリスクはゼロではありません。老後には、下記のようなトラブルが生じる可能性があります。
- プロテーゼの形状がはっきりしてくる
- 石灰化によるカプセル形成と凹凸
- 骨の吸収や軟骨の強度低下による影響
- プロテーゼの傾きや偏位
それぞれについて詳しく解説していきます。
プロテーゼの形状がはっきりしてくる
施術から時間が経過したり、プロテーゼに厚さがあったりするとプロテーゼの形状がはっきりとしてくる可能性があります。原因としては、プロテーゼが正しい層に挿入されていなかったりプロテーゼによる刺激や加齢による肌の影響があげられます。
この場合は、薄いプロテーゼを正しい層に入れ替えを行います。ほかにも真皮脂肪移植を行うケースもあります。
石灰化によるカプセル形成と凹凸
プロテーゼは、時間経過とともに石灰化が進みカプセルという膜に包まれます。このカプセルが進行すると、稀ではありますが鼻筋に凹凸が生じたり、歪みが生じたりする可能性があるのです。
トラブルを防ぐためにも違和感が生じた場合は、速やかにクリニックに相談しましょう。
骨の吸収や軟骨の強度低下による変化
プロテーゼは、老後に骨が吸収されたり、軟骨の強度が低下したりすることで、稀ではありますが歪みが生じる可能性があります。特に軟骨の強度が低下すると、プロテーゼを支えきれなくなり、歪みが目立ってしまうケースもあります。
歪みが目立つ場合は、追加で処置を行わなくてはなりません。
プロテーゼの傾きや偏位
施術後は真っ直ぐと挿入されていたプロテーゼが、老後に傾くリスクもあります。鼻は顔の中心にあるため、プロテーゼが傾くと顔のバランスが崩れてしまいます。
傾きが生じる原因は、主にプロテーゼが正しい層に挿入されいないこと、また元々の鼻の歪みがあげられます。傾きを防ぐには、歪みを考慮してプロテーゼを形成し、きれいに正しい層に沿わせて挿入することが大切です。
鼻プロテーゼの効果の持続期間と経年変化
術後数年してトラブルが生じる人もいますが、
鼻プロテーゼの耐用年数は、基本的には一生涯です。
ただし人によっては、
現在のI型プロテーゼではよほどのことがない限りトラブルは起こりづらいためあまり心配する必要はないでしょう。
鼻プロテーゼで老後にトラブルを起こさないポイント
鼻プロテーゼで老後にトラブルを起こさないためには、下記のポイントが大切です。
- 医師のカウンセリングと術後診察の重要性
- 無理なデザインやサイズのプロテーゼを避ける
- 違和感を感じたらすぐに専門医に相談
トラブルリスクを軽減するためにも詳しく理解していきましょう。
医師のカウンセリングと術後診察の重要性
鼻プロテーゼを受ける際には、スキルの高い医師のもとで受けることが大切です。理想の仕上りを叶えるためにはカウンセリングで、自分の意思をしっかりと伝えてください。カウンセリングで話を聞いてもらえなかったり、リスクの説明がなかったりする場合は、他のクリニックを検討しましょう。
また老後のトラブルを防ぐためにも術後診察は必ず受けることをおすすめします。鼻プロテーゼが定着するには、半年~1年程度かかります。傷跡が治ったからといって安心せず必ず診察を受けましょう。
無理なデザインやサイズのプロテーゼを避ける
無理なデザインやサイズのプロテーゼは、トラブルリスクが高まります。傾きや偏位の原因になるため、自分の鼻の形に合ったサイズを選ぶことが大切です。「鼻を高くしたい」という気持ちが強くなり、欲張ってしまいたくなりますが、老後を考えたデザインにすることをおすすめします。
違和感を感じたらすぐに専門医に相談
術後に違和感が生じた場合は、速やかに専門医に相談しましょう。早期に対応すれば大きなトラブルにならない可能性もあるため、早めに行動することが大切です。もし専門医が退職している場合は、鼻整形を得意としているクリニックに相談しましょう。
鼻プロテーゼ以外の選択肢 – 自家組織移植
鼻筋を高くする施術は、鼻プロテーゼだけではありません。様々な選択肢がありますが、そのなかでも肋軟骨や耳介軟骨・筋膜・真皮を鼻に移植する自家組織移植があります。
ここからは、自家組織移植について詳しく解説していきます。
自家組織移植のメリット
自家組織移植のメリットは、主に下記があげられます。
- 異物反応がない
- メンテナンスがいらない
- 感染リスクが低い
- 露出リスクがほぼない
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
異物反応がない
自家組織移植は、自身の肋軟骨や耳介軟骨を移植するため、異物反応のリスクがほとんどありません。プロテーゼやヒアルロン酸は、稀に拒否反応を起こす可能性があるため、拒否反応のリスクを軽減したい方は、自家組織移植がおすすめです。
メンテナンスがいらない
プロテーゼは、石灰化や傾き、歪みが生じる可能性があるため、メンテナンスが必要になる可能性があります。しかし、自家組織移植は石灰化などのリスクがなく、メンテナンスの必要がありません。入れ替えの必要もないため、術後の手間や費用の心配がないのもポイントです。
感染リスクが低い
自家組織移植は、感染リスクが低いのもメリットです。さらに万が一感染した場合でも抗生物質の効果が出やすいとされています。ただし、感染症のリスクがまったくないわけではないことを理解しておきましょう。
露出リスクがほぼない
自家組織移植は、プロテーゼのように皮膚を突き破って露出するリスクがほとんどありません。加齢によって皮膚が薄くなることで、軟骨の形が浮き出る可能性はありますか、露出するリスクがほとんどないのはメリットといえるでしょう。
自家組織移植のデメリット
多くのメリットがある自家組織移植ですが、下記のようなデメリットも伴います。
- ドナー部位に傷ができる
- 吸収される可能性がある
- 高度な技術が必要
美容整形を受ける際は、メリットや効果だけでなく、デメリットについても理解しておくことが大切です。デメリットについて詳しく解説していきます。
ドナー部位に傷ができる
自家組織移植は、組織を採取する際に傷ができます。可能な限り目立たない部位を選び、最小限の傷で済むよう処置を行います。一般的に肋軟骨や耳介軟骨を使用するため、目立つ部位ではありません。ただし、肋軟骨など大きな軟骨を採取した場合は、術後に痛みが続く可能性があります。
吸収される可能性がある
移植された自家組織は、時間をかけて血が巡りはじめるため、必ず一定量は吸収されます。吸収率は、部位や体質などによって異なるため、一概には判断できません。そのため、術後に仕上がりが変わってしまう可能性があるのがデメリットです。
一方で鼻プロテーゼは、医療用シリコンで形成されているため、術後に厚さや大きさが変化することはありません。これらの違いを考慮し、自分に合った施術を受けることが大切です。
高度な技術が必要
自家組織移植は、高度な技術が必要になります。組織を採取する部位や吸収率、鼻に合わせた形成などが複雑に絡み合っており、難易度が高い手術です。きれいな仕上りを目指すためにも自家組織移植の実績や症例を豊富に持っている医師を選びましょう。
鼻プロテーゼ手術の症例写真
鼻プロテーゼについてのよくある質問
鼻プロテーゼに関するよくある質問を集めました。
- 鼻プロテーゼは取り出すことができる?
- 鼻プロテーゼによる後悔を防ぐには?
- 鼻プロテーゼのトラブルが起こった場合の対処法は?
ほかにも疑問や気になる事がある場合は、カウンセリングの際に相談しましょう。
鼻プロテーゼは取り出すことができる?
鼻プロテーゼは、取り出すことが可能です。施術を受けた期間が短いほど簡単に取り出せます。ただし抜去後は、傷跡から数日間出血が生じる可能性があるため、鼻を擦るなどの刺激を与えないように過ごさなくてはなりません。
鼻プロテーゼによる後悔を防ぐには?
鼻プロテーゼによる後悔を防ぐには、スキルの高い医師のもとで受けることが大切です。医師やクリニック選びの際は、下記をチェックしましょう。
- 鼻プロテーゼの実績や症例が豊富であるか
- 丁寧にカウンセリングを行ってくれるか
- 利用者からの口コミ・評判は良いか
このような点を踏まえ、信頼できる医師のもとで施術を受けましょう。
鼻プロテーゼのトラブルが起こった場合の対処法は?
術後に何らかのトラブルが起こった場合は、速やかにクリニックに相談しましょう。放置してしまうと、重篤なトラブルにつながる恐れもあるため、注意が必要です。また万が一の事態に備え、アフターケア体制が充実しているクリニックを選ぶのがおすすめです。
まとめ
鼻プロテーゼは、確実に鼻を高くできる施術です。I型プロテーゼは、皮膚を突き破って露出するリスクも低く、ナチュラルな仕上りを期待できます。しかし、老後にプロテーゼの形が浮き出たり、石灰化したりするリスクも少なからずあります。
このようなリスクを避けたい方や過去にプロテーゼでトラブルを起こしたことがある方は、自家組織移植もおすすめです。双方のメリットやデメリットを理解し、自分に合った施術方法を選択しましょう。