ピーリング後の肌荒れの原因と対策
記事監修医師プロフィール
アリエル美容クリニック郡山院 院長
安齋誠基
- 岐阜大学医学部医学科 卒業
- 上都賀総合病院
- 大手美容クリニック 院長
ピーリングは毛穴の開きやニキビ跡などの肌悩みに対し、改善効果が期待される施術です。
市販されている家庭用ピーリング剤を購入し、自宅にてセルフピーリングを始める人も少なくありません。
しかしピーリングを安易に始めれば、肌荒れを引き起こす可能性も。ピーリングで得られる効果や注意点について、深く理解しておくことが大切です。
本記事ではピーリング後に肌荒れが起こる原因や対策、薬剤が適さない肌の状態について詳しく解説します。
ピーリングを検討している方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
ケミカルピーリングとは
ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を用いて古い角質や汚れを溶かす施術です。
使用される薬剤にはいくつかの種類が存在します。代表的なのは「AHA(アルファヒドロキシ酸)」や「グルコール酸」です。
施術にかかる費用が手頃なため、定期的な治療を希望する人も少なくありません。
なおピーリングの種類は多岐にわたります。最近では「マッサージピール」「ミラノリピール」など、薬剤を浸透させるタイプのピーリングも増えてきました。
ケミカルピーリングの効果
ケミカルピーリングには、いくつかの嬉しい効果が期待できます。
- ニキビ・ニキビ跡の改善
- 毛穴の黒ずみ・角栓の除去
- シミ・色素沈着の改善
- 小じわ・くすみ・ざらつきの改善
では具体的な効果について、以下で詳しくみていきましょう。
ニキビ・ニキビ跡の改善
ケミカルピーリングは、肌の再生効果が期待できる施術です。
私たち人間の肌には、一定周期で生まれ変わる「肌のターンオーバー」が存在します。しかし肌の状態や年齢によって周期は変動するため、再生力が衰えるとニキビやニキビ跡がなかなか改善されません。
ケミカルピーリングで肌の再生能力を促してあげると、ニキビ・ニキビ跡の改善に役立ちます。
赤み・色素沈着・軽度のクレーター状の凹凸であれば、嬉しい変化が見込めるでしょう。
毛穴の黒ずみ・角栓の除去
薬剤を用いて人工的に汚れを溶かすのが、ケミカルピーリングの大きな特徴です。
洗顔料だけで落とすのが難しい毛穴の黒ずみや角栓の除去に対し、嬉しい効果が期待できます。
なお油溶性のサリチル酸を使用したケミカルピーリングでは、毛穴の奥の汚れに対して優れた効果を期待できる魅力があります。
器具を使って角栓を無理に出したり、毛穴シートで剥がそうとしたりすれば、肌に炎症を与えて色素沈着を引き起こす可能性もゼロではありません。
毛穴の黒ずみや角栓の詰まりが気になる人は、ケミカルピーリングを試してみる価値があるでしょう。
シミ・色素沈着の改善
肌のターンオーバーを促進するケミカルピーリングは、シミや色素沈着の改善に役立ちます。
理由としては、肌の再生能力を高めることによって、メラニンの排出を促進する働きが期待できるからです。
紫外線が原因で発生したシミを薄くしたい人は、ケミカルピーリングでメラニンの排出能力を高めてあげるのも1つの方法でしょう。
小じわ・くすみ・ざらつきの改善
ケミカルピーリングで余分な角質が剥がされた状態の肌は、コラーゲンやエラスチンといった美容成分が真皮内で増加します。
肌の弾力を高めるサポートにつながるため、小じわなどの改善効果が期待できるでしょう。
加えてくすみやざらつきに対しても、余分な汚れを落とすことによって嬉しい変化が期待できます。
肌表面のざらつきを改善したい人、くすみで顔色が悪く見える人にもケミカルピーリングはおすすめです。
ケミカルピーリングのデメリットとダウンタイム
肌質改善効果などの嬉しいメリットが期待できるケミカルピーリングですが、デメリットが1つもないわけではありません。
ケミカルピーリングで使用する薬剤の影響によって、以下のような症状が現れるケースもあります。
- 肌の赤み・炎症
- 肌の乾燥
- 炎症性色素沈着
- バリア機能の低下
特に注意したいのは、バリア機能の低下によって紫外線の影響を受けやすくなる点です。新たなシミや肌トラブルを発生させないためにも、UV対策を徹底する必要があるでしょう。
またケミカルピーリングを過度に繰り返せば、必要な角質まで剥がしてしまいます。赤み・炎症・乾燥といった状態が現れやすくなるため、注意が必要です。
なおケミカルピーリングに、ダウンタイムはほぼありません。施術を受けた翌日からメイクも可能になるケースがほとんどです。
ただし赤みや皮むけが、数日〜1週間程度気になるケースもあります。症状を悪化させないためには、適切な保湿ケアを心がけましょう。
ピーリング後に肌荒れが起こる原因
ピーリングの施術を受けた後の肌状態は、想像している以上に敏感です。人によっては、以下のような原因によって肌荒れを引き起こす可能性があるでしょう。
好転反応としての一時的な肌荒れ
好転反応とは、肌細胞が活性したことによって引き起こされる「一時的な肌状態の悪化」を指します。
ピーリングによって不要な汚れや角質が取り除かれた肌は、再生能力が促されている状態です。
通常よりも肌細胞が活性化しやすいため、ニキビが増えたり、毛穴の開きが目立ったりするケースも少なくありません。
数週間程度、肌荒れした状態が継続する場合もありますが、好転反応であれば時間とともに鎮静します。
肌が敏感な状態でのピーリング
ピーリングは、少なからず肌に刺激のある薬剤を使って再生力を促す施術です。
肌荒れなどのダメージがある敏感な状態でピーリングの薬剤を使用すれば、強い刺激を与えてしまうことも少なくありません。
ピリピリとした痛みや刺激を与えないためにも、肌トラブルのない正常な状態で行うのがおすすめです。
セルフピーリングの注意点の無視
家庭用の薬剤を用いて行うセルフピーリングは、肌の状態や施術の間隔を自身で見極めなくてはいけません。
注意点を無視して頻繁に施術を繰り返したり、使用方法を誤ったりすれば、皮膚を必要以上に薄くしてしまう可能性が考えられます。
ピーリング剤を使用する適切な間隔や用法を守り、安全に行う必要があるでしょう。
適切な保湿ケアの不足
ピーリングした後の肌は余分な汚れや角質が剥がれ、デリケートな状態です。
通常よりも乾燥しやすくなっていたり、肌のバリア機能が低下していたりする恐れがあるでしょう。
適切な保湿ケアが不足している状態では、肌トラブルを招きやすくなります。
生まれ変わった新しい肌を健やかに保つためにも、化粧水での水分補給はもちろん、乳液やクリームなども活用して十分な保湿を心がけるようにしましょう。
紫外線対策の不徹底
ピーリング後の肌は、紫外線の影響を受けやすい状態です。
UVケアを怠ってしまうと、赤みや炎症を引き起こすだけでなく、シミ・色素沈着を作り出すきっかけになります。
日焼け止めを適切に使用するのはもちろんですが、帽子や日傘などを使って紫外線を物理的に遮断するのも有効です。
「少しの時間なら大丈夫だろう」このような油断は、肌トラブルを引き起こすきっかけになるでしょう。紫外線対策の徹底を心がけてください。
ピーリング後の肌トラブルへの対処法
ピーリング後に肌トラブルが発生してしまった場合は、以下の対処法が役立ちます。
ほてりや赤みが引かない場合の対処法
ピーリング後のほてりや赤みは、誰にでも当てはまる症状の1つです。
過度な心配は不要ですが、時間が経っても引かない場合は水で冷やしたタオルや保冷剤を活用してクーリングしてあげるのがおすすめです。
それでもほてりや赤みが気になる場合は、施術を受けたクリニックや近くの皮膚科に相談してみるのが良いでしょう。
ニキビが増えた場合の対処法
ピーリングを受けた肌は、再生機能が促されます。肌組織が活性化されたことによって、一時的な肌荒れを引き起こす「好転反応」が現れるケースも少なくありません。
時間の経過とともに改善されていきますが、保湿ケアの徹底や生活習慣の見直しを取り入れると、回復機能が高まるでしょう。
なお時間が経っても肌荒れが改善されなかったり、状態が悪化していったりするようであれば、ピーリングの薬剤の種類を変えるのも1つの方法です。施術を受けたクリニックに相談してみましょう。
ピーリング後の正しいスキンケア
ピーリング後は正しいスキンケアを心がけることによって、肌荒れの改善や予防に役立ちます。
十分な保湿
ピーリング後のスキンケアで必ず覚えておきたいのが、保湿ケアの徹底です。
薬剤を使って古い角質や老廃物を除去した後は、肌が乾燥しやすい状態になっています。
化粧水での水分補給、乳液やクリームでの油分補給を忘れないようにしましょう。
紫外線対策の徹底
ピーリング後はバリア機能が低下しやすいため、紫外線の影響を受けやすくなっています。
日焼け止めをこまめに塗り直すなどの対策をし、紫外線から肌を守るように心がけましょう。
日傘・帽子・マスクなどのアイテムも、賢く活用するのがおすすめです。
刺激の強いケアの避け方
ピーリングを受けた後は、化粧水や乳液などスキンケアアイテムの美容成分が浸透しやすい状態です。
良くも悪くも吸収しやすいため、攻めの成分が配合されている化粧品は避けた方が良いでしょう。
シンプルな成分で作られている敏感肌用の化粧品やワセリンなどを活用し、守りのケアを徹底するようにしましょう。
ピーリングに適さない肌の状態と注意点
ピーリングを検討するにあたって注意したいのが、現在の肌の状態です。以下に該当する人は、残念ながらピーリングが適さない可能性があります。
日焼け直後の肌
日焼け直後の肌は、紫外線の影響によってバリア機能が低下している状態です。
通常よりも炎症を引き起こしやすくなっていたり、肌の乾燥状態が悪化していたりします。
このような状態でピーリングをすれば、角質などを必要以上に剥がしてしまう恐れがあるでしょう。
特に日焼けによる赤みやほてりが出ている場合は、ピーリングの時期をずらすのがおすすめです。
乾燥肌や敏感肌
肌が乾燥している人、化粧品などでかぶれやすい敏感肌体質の人は、ピーリングで使われる薬剤の成分が合わない可能性も考えられます。
施術を検討している場合には、自身の肌状態についてしっかりと伝えておく必要があるでしょう。
うっかり伝え忘れてしまうと、薬剤の種類や施術を受ける周期が肌質に合わない可能性が出てきます。必ず申告するようにしてください。
治療中や妊娠・授乳中の肌
ピーリングは薬剤を用いて施術を行うため、妊娠中や授乳中のデリケートな時期には肌荒れを引き起こす可能性が考えられます。
施術が受けられるのかしっかりと確認した上で、ピーリングを検討するのが良いでしょう。
また脱毛などの施術を受けた後は、レーザーから照射される熱によって肌が敏感になっています。ピーリングの可否については、クリニックに相談が必要です。
セルフピーリングとクリニックでのピーリングの違い
セルフピーリングとクリニックでのピーリングには、以下2つの違いがあります。
使用する薬剤の濃度の違い
家庭用に開発されているピーリング剤と、業務用に開発されているクリニックのピーリング剤では、薬剤の濃度に大きな違いがあります。
医師が駐在するクリニックであれば濃度の高いピーリング剤で施術が可能になるため、肌質改善などの嬉しい効果を実感しやすいのが特徴的です。
肌状態に合わせた施術とアドバイス
セルフピーリングは自身で肌状態を見極める自己判断の施術になりますが、クリニックのピーリングは皮膚の専門家からアドバイスがもらえます。
医師が肌状態を確認した上で薬剤の種類や濃度を選定するため、安全かつ満足度の高い施術を期待できるのが特徴的です。
ピーリング後のケア方法や注意点についても、わかりやすく説明してもらえます。
ピーリング後の肌荒れについてのよくある質問
ここからは、ピーリング後の肌荒れについてのよくある質問についても確認していきましょう。
肌荒れの期間はどのくらい?
ピーリングの薬剤の種類や肌質によっても異なりますが、一般的には数日〜1週間程度で治ります。赤みや肌荒れが気になる期間は、通常よりも保湿を徹底するようにしましょう。
肌荒れが長引く場合の対処法は?
ピーリング後の肌荒れが長引いている場合は、施術を受けたクリニックや近くの皮膚科を受診するようにしてください。また保湿ケアに使用している美容成分が合わない可能性もあるため、受診する際には持参するのがおすすめです。
ピーリング後の肌荒れを防ぐためのコツは?
ピーリング後の肌荒れを防ぐためには、栄養バランスの良い食生活や、睡眠時間などの生活習慣に気を配りましょう。また保湿ケア、紫外線対策の徹底も大切です。
まとめ
ピーリングは肌の再生(ターンオーバー)を促し、毛穴やニキビ跡などの肌質改善効果が期待できる施術です。
肌質に合わせながら上手に活用すれば、美肌への近道になる可能性があるでしょう。一方で誤って行えば、肌トラブルを引き起こすきっかけになりかねません。
肌に負担をかけない安全なピーリングで効果を実感したい人は、セルフピーリングではなくクリニックのピーリングがおすすめです。まずはカウンセリングで話を聞くところから始めてみましょう。